イランから中央アジア一帯、アゼルバイジャンからアフリカにまで及ぶ広い地域で祝われる春の祭典ナウルーズ(Navro’z)。
もとはイラン暦の旧正月にあたり、ユネスコの無形文化遺産にも登録されています。
国をあげて盛大にお祝いするウズベキスタンでは、ナウルーズならではの伝統的なイベントが盛りだくさん!
去年に引き続き、今年も現地レストランIkat Boutiquesではナウルーズイベントを開催いたしました。今回はその様子をお届けしたいと思います。
※追記(2023年12月22日):2024年 SRP TRAVEL特別企画のナブルーズツアーを公開しました。
ぜひお気軽にお問い合わせください。
*世界遺産の街サマルカンドで「ナブルーズ」体験・ウズベキスタン3都市周遊ツアー 6日間
*世界遺産の街サマルカンドで「ナブルーズ」体験・ウズベキスタン4都市周遊ツアー 7日間
遊牧民族らしさ満載! ナウルーズ限定の騎馬競技クプカリ観戦
主にナウルーズのイベントとして行われるほか、山岳地域では結婚式や割礼式の記念としても行われるクプカリ(ko’pkari)。
馬に乗った騎手たちによる、個人戦のラグビーのような競技です。
ボール代わりとなるのは、砂を詰めたヤギや羊の胴体。これを互いに奪い合い、ゴールまで運べれば勝利です。
遊牧民族ならではのスポーツですね。
サマルカンド州やカシュカダリヤ州で行われる催しで、サマルカンドでは、旧市街から車で1時間ほどの郊外で開催されました。
各地からやってきた観客で賑わう会場。広大な高原一帯を埋め尽くすほどの人混みで、見渡す限り、ほぼ男性客で埋め尽くされています。
串焼き肉シャシリクの屋台が並び、観客席へも、綿あめやポップコーン、ヒマワリの種を持った物売りが。会場を満たすお祭りムードに、一層ワクワク感が高まります。
フィールドではしばらく練習試合がつづいていましたが、途中から練習とも本番ともつかぬまま唐突にゲームがスタート。
両サイドにゴールが設けられ、片側からスタートし、もう一方のゴール目がけて騎馬集団が全速力で走り抜けます。
一頭でも迫力あるのに、密集したまま疾走する様子はまさに圧巻。
数十キロもする胴体を抱えた騎手と、それを乗せて力いっぱい駆け抜ける馬たちの力強さに、思わず見入ってしまいます。
フィールドがあまりにも広いので、胴体を手にした騎手を目で追うのはなかなか難しく、また1ゲームは短期戦で決着がつくので存外あっさりとしていますが、活気に満ちた会場で皆とわいわい観戦するのが何より楽しいのです。
クプカリは直前まで日程が決まらず、また、公式に情報が出されないため、詳細な日時と場所を知るのは現地人でも難関。 旅行中に観戦してみたい方は、現地ツアーへのご参加がおすすめです。
ナウルーズ名物 鍋を囲って親睦深まるスマラク作り
麦を煮詰めてジャムのようにした、ナウルーズのための特別な食べ物、スマラク(sumalak)。
麦芽と水、油から作られ、パロフを作るときにも使われる大きな鍋で、皆で代わるがわる混ぜつづけながら一晩かけて煮込みます。
この日のために親戚一同や近所の人々が集まり、大勢で作るのが習わしのよう。
焦げ付き防止のために、鍋の底には石も入れられており、かき混ぜるとカラカラと心地良い音が。
スマラク作りのはじまりにはこんな言い伝えがあります。
貧しい家庭のお母さんが、お腹を空かせて泣く子どもたちを安心させるため、スープの代わりにと、鍋に水と石を入れて煮込んだそう。
鍋の中で石が転がる音を聞き、ごはんを作っているのだと安心した子どもたちは眠りにつき、いつしかお母さんも眠ってしまいます。
目が覚めると、そこには神様の慈悲によって、スマラクが出来上がっていたそうです。
スマラクをかき混ぜる傍ら、パロフを作ったり、ホラズム地方の伝統舞踊音楽ラズギやウズベキスタンのポップミュージックに合わせて、各々自由に踊ったり。
結婚式などで踊る機会の多いウズベキスタン、ダンスはお手の物で、子どもたちもキレキレのステップを見せてくれます。
言葉が分からなくても一緒に楽しめちゃうのが踊りの魅力。
日本人もウズベク人も、現地人も旅行客も、年齢も関係なく、皆で盛り上がり続けた夜となりました。
スマラクをかき混ぜながら願い事をすると叶うとか。
数十人の願いが込められたスマラク。
皆が寝静まる時間は蓋をして寝かせておき、翌朝、皆が集まってからいよいよ開けます。
煮詰まって、ねっとりとペースト状に仕上がったスマラクを味見。素朴な優しい甘さが口いっぱいに広がります。
どことなく、干し芋や、水飴を思い起こさせるような。懐かしい気持ちになる風味です。
スマラクを混ぜる会はあちこちの家庭やお店で行われるので、ナウルーズ期間中の旅行ならきっと立ち会えることでしょう。
また、最近はナウルーズ以外でもスーパーで瓶入りのスマラクが売られていますので、お土産にいかがでしょうか?
伝統イベント目白押しのナウルーズ。
3月は気候的にも旅行のベストシーズンなので、ナウルーズ前後は列車・宿泊施設ともに予約があっという間に埋まってしまいます。
ウズベキスタンでナウルーズをお過ごしの方は、ぜひお早目のご予約を!