国土の大半が砂漠で覆われているウズベキスタン。
そんなウズベキスタンにも大きな湖があり、アイダルクル湖やアラル海などは、海外観光客からも、国内旅行の行き先としても人気です。
一方で、砂漠の中でない、緑に囲まれた湖は少なく、限られた旅行期間の中では行きにくいのが難点。
ですが、サマルカンドと隣り合う街、タジキスタンのペンジケントなら、高くそびえる山々と緑豊かな自然に囲まれた、7つもの美しい湖を見に行くことができます。
1つ1つの湖は十数分間隔ほどで移動できるので、1日ですべて周ることができるのも観光しやすいポイント。
今回は、サマルカンドから日帰りで行ける、この「7つの湖」をご紹介します。
ペンジケントとは?
タジキスタン西部、ザラフシャン川沿いに位置する街、ペンジケント。
サマルカンド旧市街からタジキスタン国境までは約1時間。ウルグットへ行くのとほぼ同じくらいの距離感です。
その国境を超えた先がペンジケントの街。
約80%はタジク人、約20%はウズベク人、その他キルギス人、カザフ人、ロシア人など、サマルカンド同様、多くの民族から構成されています。
18世紀から残るモスクと神学校、そしてバザールを中心に据えた小さな街ですが、古代、中央アジアにソグディアナが存在した時代には大きな都市として栄えた、歴史ある地です。
パンジケントの山奥に連なる幻想的な7つの湖
湖への道のりは、舗装されていない、ゴツゴツした砂利道と車一台通れる程度の崖。
ランドクルーザーでガタゴト揺られながら山を登ります。
道中、山の斜面には点々と民家が。山奥までずっと村がつづいており、想像している以上に、人々はどんな場所でもたくましく生活を築いていることを実感します。
ときおり、ヤギやロバの列とすれ違うことも。おとなしいヤギも、波のように向かいくる群れだと迫力満点です。
そして肝心の湖。
岩壁に囲まれた窪地に、一面青緑色の幻想的な風景が広がります。
ピーコックグリーンとも、エメラルドグリーンとも、ターコイズブルーともつかないような特有の色は、ほかに見たこともない美しさ。
光を受けてキラキラ輝く水、山の中腹の開けた景色、山々を通り抜ける涼しい風が相まって、爽快感に満たされます。
炎天下でも、水はびっくりするほど冷たくて。
夏に涼をとりに来るのにぴったりの場所です。
澄んだ湖に目を凝らすと、ちっちゃな魚や小エビが見つかることも。
同じ青緑色の湖ですが、7つそれぞれ表情も違っていて。
水深が浅く底まで見通せるゆえに、その透明さがありありと際立つ1つ目の湖。
くっきりした青緑色がどこまでも広がる4つ目の湖。
3つ目の湖では、キャンピングカーで来ている旅行者、浅瀬で水遊びする子どもたち、ピクニックシートを広げ昼食を楽しんでいる家族など、訪れる皆が各々に満喫している様子も。
もっとも山の上にある7つ目の湖へは、車を降りて十数分のハイキング。
山々の間から雪解け水がなみなみと流れてくる様子、色とりどりの花が咲き誇る景色、湖の周りの風景までもが絵になるロケーションです。
昼食は近くの民家レストランで。
お米入りのスープ「マスタヴァ」や、野菜と肉の煮込みなど、中央アジアの定番料理が食べられます。
ですが、今回のポイントは大きなシシャモのような魚のフライ。
魚料理の少ない中央アジアで、魚を丸ごと味わえるのは嬉しいところ。
塩のきいた白身は旨味たっぷりで、お腹も心も満たされることでしょう。
中央アジア最古の遺跡も ペンジケントで満喫する歴史スポット
タジキスタンの中でも遺跡が集まっているペンジケント。
中央アジアの歴史において重要な遺跡が残されています。
そちらも合わせて見ていきましょう。
ソグディアナ時代の都市一帯を残す ペンジケント遺跡
サマルカンドを中心に、ソグド人が居住していた地域ソグディアナ。
ペンジケント遺跡はソグディアナの時代に含まれ、ソグディアナの中心地、サマルカンドのアフラシヨブよりも先に都市が形成されていたそう。
ここに残っているのは、8世紀にアラブの勢力が入ってくるまで続いたその都市の痕跡。
かつて城壁で囲まれていたこの敷地には、王の住居と市民の要塞、寺院などの区画分けされた土壁が残っています。
遺跡がある丘のすぐ下には、現在のペンジケントの街並みが広がっています。今の街と何世紀も昔の街が隣り合って並んでいる景色は、なんだか不思議な気持ちに。
ミュージアムでは出土品が展示されていますが、ほとんどの遺物はサンクトペテルブルクのエルミタージュ美術館に運ばれ、ここで見ることができるのは複製品です。
五千年もの時間を有する サラズム遺跡
こちらは2010年に世界遺産登録された遺跡。
発掘調査が行われたきっかけは、なんと地元の農夫がこの敷地内で銅剣を見つけたこと。
調査の結果、紀元前4000年~紀元前3000年のおわりにまでさかのぼる原始都市であることが明らかに。
「サラズム」とは「土地がはじまる場所」。
当時の都市の形成過程を知る手がかりとなる、重要な遺跡だったのです。
また、遊牧に適した山岳地帯と、農業と灌漑の発達に適した土地に恵まれ、周辺地域との交易関係もあったとされています。
ここでは様々なものが発掘されていますが、中でも有名なのが、当時の王女とされる人骨。
ターコイズやラピスラズリなどのビーズがふんだんについた服を着て、金や銀、貝殻からなるアクセサリーを身につけ、青銅鏡などの装飾品もそばに置かれていたそう。
ほかにも、入ってすぐ右手、分かりやすい形で保存されているのが陶芸窯。
二層構造になっていたことが明らかにされており、陶器の破片もたくさん出土しているよう。
また、金属製品の生産にも強かったとされています。槍や釣り針などの日用品をはじめ、王女を飾るアクセサリーも土地由来のものなのでしょうか?
多くのものが発掘されているも、まだ明らかになっていないことも多いので、今後の調査に期待ですね。
まとめ
サマルカンドから日帰りで行けるタジキスタンの魅力はいかがでしたか?
以前はウズベキスタンとの国境が閉鎖されたり、VISAが必要だったタジキスタンも簡単に国境を超えることができます。
ぜひサマルカンド滞在中に一足伸ばし、中央アジアの国境を越え、まだあまり知られていないペンジケントに日帰り旅行するのもおすすめです。
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