ウズベキスタンの伝統的な式典レポート!サマルカンド郊外で赤ちゃんの誕生を祝うベシクトイ

家族・親戚のつながりが深いウズベキスタン。

家族や親戚のお祝いごとが行われるときは学校や仕事を休んででもお祝いすることもしばしば。

誰かのお祝いごとがあればその度に主役の家に親戚中や近所から人が集まり、お手伝いをしにきたり、お祝いをしにきます。

来客をもてなすウズベキスタンの慣習にしたがって誕生日も結婚式もその他の式典も主催者たちがお客さんたちをもてなすため、主役たちの方がなんだか大変そうなウズベキスタンのお祝い……。

今回は赤ちゃんの誕生を祝う式典、「ベシクトイ」に参加したときの様子をご紹介します。

ウズベキスタン古くからの伝統、赤ちゃんの誕生を祝う「ベシクトイ」

「ベシク」とはゆりかごのことで、「トイ」は式典全般を表す言葉です。

いろんなトイがあるウズベキスタンですが、「ベシクトイ」とは、第一子の誕生を祝う式典のこと。

主役の赤ちゃんには新しいゆりかごが送られます。

夫の両親が新しくて大きいベシクを買い、妻の両親がベシクトイのためにお肉やお菓子など様々なものを持ってやってきます。

ベシクトイに決まった開催日時はなく、赤ちゃんが2歳になるまでならいつでも開催できるそうです。

主役の赤ちゃんは3か月になった女の子Yasinaちゃん。

「Yasina」とはコーランの1つの章の名前から付けられています。

イスラム教徒がみんな覚えてお祈りするときに唱える大事な章なのです。

意味が込められたとてもいい名前です。

サマルカンド郊外の村の食事

前日の村の夕食を紹介します。

メインディッシュは羊の肝臓。

羊の臭みはありません。

テーブル代わりに布を敷き、ノン、サラダ、メロン、お菓子を並べます。

お家には父親の親戚やご近所さんが集まり、会の準備をしていました。

数えきれないほどの食器もレンタルし、明日に備えます。

式の準備

翌朝、朝早く6時ごろから主催の親戚たちがあわただしく準備し始めました。

大きなボウルいっぱいにサラダをつくり、大量のスイカやメロンなども食べやすい大きさに切っていきます。

日本では考えられないほど大きいウズベキスタンのスイカやメロン。

日本の高級フルーツに負けないほど甘いのが特徴です。

女性の一人が元気よくぶどうを見せてくれました。

このぶどうも庭で育てた自家製のぶどう。太陽をしっかり浴びたぶどうもとっても甘く、晩夏から秋の終わりまで食べられます。

このようにして準備された食べ物は客間に並べられていきます。

女性たちが客間の準備を進める間、集まった男性たちはパロフを作ります。

普段料理は女性の仕事ですが、お祝いごとがあるときは男性がパロフを作ります。

大きな窯には米、にんじん、黄色いにんじん、ひよこ豆、レーズンが見えますね。

サマルカンドのパロフにはいつもレーズンはありませんが、お祝いのパロフ、トイオシュによくレーズンが追加されます。

一番初めにお肉を揚げ焼きにするため、お米の下には羊肉が埋まっています。

なんと使われた羊はベシクトイのために家で育てたもので、このために屠殺されました。

お肉から内臓まで全て料理に使います。

中央アジア全域に伝わるパロフ。

サマルカンドではお米、にんじん、お肉の順番で盛り付けることが美しいとされていて、お客さんに出されたパロフは順番通りになっていました。

青空のもと盛り付けられたパロフは太陽の光を浴びてとっても美味しそうに見えます。

ベシクトイのメイン 赤ちゃんの幸せと健康を祈る儀式

料理が振る舞われたあと、式のメインパートである儀式が始まりました。

今まで使っていたものよりも一回り大きいゆりかごがYasinaちゃんに贈られます。

ゆりかごにスプーンやフォークや鏡を置き、傾け落とすひいおばあちゃん。

健康や幸せを願って行われる昔からの伝統です。

そしてされるがままにゆりかごに置かれ、ぐるぐる巻きにされるYasinaちゃん。

おばあちゃんはノンを1かじりし、Yasinaちゃんの名前を3回耳元で唱えます。

「あなたの名前はYasinaです。Yasinaと呼ばれたら返事してね」

お祈りのあと、上からどんどん布を被せていきます。

そしてお菓子を投げます。投げられたお菓子は子宝に恵まれないお家のお嫁さんが食べると子供ができると考えられています。

これにて儀式が終わり、親戚たちは帰り始めました。

壮大な自然が広がるサマルカンドの村の景色。

ここのお家では家で育てたぶどうやりんご、かりんをバザールで売り、娘さんの学費と下宿費にあてているそうです。

ガイドの卵の女の子は家族に応援されながらガイドになるために一生懸命日本語を勉強しています。

まとめ

ウズベキスタンに伝わる第一子の誕生を祝うベシクトイ。

親戚中や近所から人が集まり赤ちゃんを祝っている様子を見ると、ウズベキスタンでの家族・親戚のつながりが強く、お互いを大切にしていることがよくわかります。

今回お祝い事に招待してくれた女の子はSRP Travelにて学生ガイドとしての依頼も受け付けています。

元気いっぱいにサマルカンドの街を案内してくれます。

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