ウズベキスタンの陶器といえば美しいブルーと細密模様。
そんなイメージをもたせるほど、フェルガナ地方リシタンの街でつくられた陶器は、ウズベキスタン各地に広まり、多くのお土産物屋で扱われています。
ですが、ウズベキスタンの伝統ある陶器産地はリシタンだけではありません。
ブハラ旧市街から車で1時間半ほどの街、ギジュドゥバンも陶芸で有名な地。
リシタン陶器とはまた全然ちがった、独特な風合いの陶器で知られています。
そんなギジュドゥバンには、だれでも見学可能な陶芸工房と陶器のミュージアムがあります。
今回はそちらを訪問し、ギジュドゥバン陶器とはどんなものなのか、ご紹介していきます。
リシタン陶器だけじゃない、ミュージアムで個性豊かなウズベキスタン各地の陶器を満喫
街の入り口にあるクラフトセンターへ。
ふつうの住宅地に囲まれていてちょっと見つけづらいですが、こちらのクラフトセンターは、陶芸家であるアブドゥロ・ナルズラエフ氏の自宅を兼ねた工房とミュージアムになっています。
ギジュドゥバンで代々陶芸を受け継いできた家系で、彼自身は6代目。多くの弟子も持ち、ここでギジュドゥバン陶芸の技術を継承しています。
まずはミュージアム見学。
ワンルームの展示室ではありますが、部屋いっぱいにウズベキスタン各地の陶器がずらり。
ウズベキスタンの隅から隅までの陶器を、これだけ沢山まとめて見比べられる場所はあまりないのではないでしょうか。
透き通るブルーの釉薬が美しいリシタンの陶器、青と白のコントラストとマットな質感が印象的なホラズム地方の陶器。
サマルカンドで盛んな民芸品である素焼きの動物たち、極彩色と大柄の模様が独特なタシケントのお皿。
それぞれに特色があって、どれも魅力的。
展示されているのは現代の陶器だけではありません。
アラビア文字のデザインがほどこされた、サーマーン朝時代の陶器の模造品も。
書かれている文章の意味の解説を見せてもらうと、「口は禍の元」「忍耐は成功の秘訣」などなど。
教訓は、今も昔も、国も越えて共通なのですね。
ミュージアムでは、ギジュドゥバンスタイルのスザニ刺繍も見られます。
特徴は、ほかの地域に比べて刺繍糸の色が薄く、ちょっとくすんだアースカラー。
これは刺繍糸の染色に、玉ねぎの皮や桑、ザクロなどの自然染料を使っているため。
日本人好みの淡い色合いで、ナチュラルなインテリアにも合わせやすそうです。
なにより、展示室に飾られている大判のスザニの美しさといったら。
布いっぱいに色とりどりの花が広がり、オレンジやベージュを基調とした淡い刺繍が黒地の布に映えて、自然な色合いなのにこの上なく華やかなのです。
かぎ針による手刺繍は、ひと針ひと針均等で少しの隙間もなく、時間をかけてとても丁寧に縫われていることが伝わってきます。
ロバの臼挽きに釉薬のしずく 制作過程もオリジナリティ溢れるギジュドゥバン陶器
つづいて陶芸工房を見学します。
制作過程にもいくつか特徴のあるギジュドゥバン陶器ですが、その一つは釉薬づくり。
棒にロバをつなぎ、ロバに歩いてもらって臼をひき、材料となる土と植物を練り合わせることで釉薬がつくられるのだそう。
この釉薬が、ギジュドゥバンの緑がかったガラス質な陶器を生み出しています。
ろくろを回して成形し、絵付けをして、釉薬をかけ、窯で2回焼く。
基本的な作り方は、リシタン陶器や日本の陶芸と同様です。
茶色、緑色、そして黄色が基調となるギジュドゥバン陶器。
この黄色は、川の底の土から採集される色なのだそう。
模様も、縁取りのない太めの線で、リシタン陶器とはまた異なるテイスト。
星や太陽、植物などが描かれます。
焼き方にも大きな特徴が。
器を裏返して小さな三脚にのせた状態で、窯に入れます。
そのため、垂れた釉薬が器のフチでしずくとなって固まるのです。
焼かれて固まったしずくは、光に透けると宝石のように煌めいて。
そんな釉薬の装飾を楽しめるのも、ギジュドゥバン陶器ならではです。
最後は楽しみにしていたお土産探し。
展示室と同じくらい品ぞろえのあるショップには、カラフルなティーカップがずらり。
濃い抹茶色にベビーピンクと淡い水色。
鮮やかなレモンイエローと深緑、赤土色とくっきりしたホワイト。
渋い色合いとパステルカラーとの組み合わせがとっても可愛い!
丸みのある手描きの小花が、あられ菓子のような可愛らしさでありながら、並べてみるとテーブルが華やいで見栄え抜群なのです。
小さなカップなら数百円ほど。たくさん並べるほど美しいので、1個1個がお手ごろ価格なのは嬉しいですね。
さきほどミュージアムで見た、サーマーン朝のアラビア文字入り陶器のイミテーションも購入できます。
ギジュドゥバン陶器のカラフルさとは打って変わって、モノトーンのスタイリッシュなインテリアにぴったり。
じっくりお気に入りの文字を探してみてくださいね。
陶芸・スザニ刺繍・伝統料理のワークショップ 充実した文化体験でウズベク旅行一番の思い出づくりを
見学だけじゃ物足りない方は、実際に自分でつくってみちゃいましょう。
ここでは陶芸体験もでき、ろくろを回して成形して、絵付けまでを行えます。焼成は職人さんに任せれば、後日、日本まで発送してもらえます。
ほかにも、スザニ刺繍体験、ウズベキスタンの伝統料理をつくる体験も。
レストランとゲストハウスも併設されているため、ここだけで丸一日かけて、じっくりウズベク文化を満喫できてしまいます。 日帰りの場合も、ぜひレストランを予約しておいて、美味しいと有名なギジュドゥバンの串焼き肉シャシリクを食べていくのがおすすめです。
SRP Travelでは、ギジュドゥバンの陶芸工房へのエクスカーションもご用意しております。
【ブハラ】ギジュドゥバンの陶芸工房見学 | ウズベキスタン現地旅行会社 | SRPTRAVEL
ブハラの旅程にゆとりのある方、ウズベキスタンの手工芸をくまなく味わいたい方はぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか。
送迎車の手配も承ります。お気軽にお問い合わせくださいね。