工芸の地フェルガナ、陶器と織物の旅

フェルガナ盆地-どこかで聞いたことがあるという方も多いと思います。

中央アジアの中でも各国の国境が複雑に入り組んでいること、各地の民族構成も特に多様であることで有名な地域です。

その他、世界史を勉強した(させられた)ことがある方は、千里を駆ける「汗血馬」とともに覚えた(覚えさせられた)地域かもしれません。

今回はそのフェルガナ盆地の、ウズベキスタン側を少しご紹介いたします。

 峠を越えて、山道をドライブ

古来より、西側からフェルガナ入りするには自ら山を越えるか、タジキスタン側から迂回しなくてはなりませんでした。
しかし現代ではトンネルなども整備され、列車の他、車でも行きやすくなっています。

 いつもは遠くから眺めるだけの山岳地帯に分け入っていく新鮮さ

日本とは全く異なる山の様子は、それだけでも見る価値があります。
道には特に危険な箇所もなく、舗装も新しいので快適に旅ができます。

 厳しい乾燥と共に生きてきた山肌は、もはや神々しくもある

 山岳地帯は天気も変わりやすく、自然の中を進んでいるという気持ちにさせてくれる

フェルガナへの旅路は、ウズベキスタンの他の旅先では滅多に体験できない山道ドライブを存分に楽しめる点が魅力です。

 美しい陶器の町、リシタン

フェルガナ地域は各地方で様々な工芸品があることで有名ですが、やはり特筆すべきはリシタンで長く受け継がれてきた美しい陶器です。

 一度目の焼きの後、着彩を待つ陶器たち それが終わってもまた焼かれる運命だ

リシタンにはいくつかの工房があり、それぞれの持ち味はやはり異なります。
工房には熟練の技術を持つ職人の他、お弟子さんたちもいます。お弟子さんには10代くらいの青年も多く、本気であれば小さいころから何年も学んで技術を獲得していくのだそうです。

 こちらはなんと、17歳のお弟子さんがその場で目隠しをしたまま作り上げたもの

 贅沢にも美しい陶片が敷き詰められた工房内の床。なんとトイレの床までこれなので、大変うらやましいかぎり

 緻密な工程と門外不出の釉薬により仕上げられた陶器は、一つ一つが芸術品

観光地などではおみやげのお皿やティーカップなどを目にすることも多いですが、リシタンのものを生で見ると、やはり別格です。
中にはとても高価なものもありますが、その値段は完璧な質とこだわりを保障していると言ってよいでしょう。

また工房の一つには、大きな規模で生産し、革新的なアイデアを取り入れ続けるところもあります。

 こちらの工房では見た目・用途含め多様なスタイルの陶製品をつくっている

 規模の違いがわかる一枚 たくさんの人がここで制作に携わる

こちらでは普段使いできるような食器の他、大小様々な装飾品や大判の壁用レリーフまで実に幅広い製品を揃えています。

 壁などに埋め込むような、大型のレリーフ この大きさでも全て手作業

ここは絵付けをはじめとして、様々なアイデアを制作に取り入れています。立体的な造形だったり、ポップな柄だったり、かゆいところに手の届く絶妙な用途設定であったり… お気に入りを見つけるにはちょうどよさそうです。

 ウズベキスタンで取れるくだものを貼り付けた…のではなくこれも陶器

ご紹介した以外の工房も、他にない味わい深さを持つ陶器をそれぞれの手法で制作しています。重くてたくさんは持ち帰れない陶器。とっておきを見つけるなら、たくさんまわるのもありかもしれません。

 織物と魅惑のバザール、マルギラン

リシタンから車で少し行くと、マルギランという町につきます。
Ikatという、綿やシルクで織られた独特の模様の布の産地の一つです。

 繭を煮て、糸を紡いでいく場所 普段見る機会がないような場面

 ずらっと並んだ手動の織機 手も足も使って動かす

 糸の束の先が模様になり、布になっていく様子は何となく不思議

工房の一つでは、繭から糸を作り、着色し、それを使って織るところまで見学できます。
職人が両手両足をフルに使って織機を操り、美麗な布を作り出していく姿は、もはや美しくもあります。
ずらっと並ぶ織機は木造で手動のものですが、別部屋には機械式の織機があります。
製品クオリティを分けたり、注文から納期が近いときなど、機械で織ることもあるそうです。

 機械式の織機 丸見えの構造は興味深く、動いているのを見たくなる

さて、こうして産み出された布はどこへいくのでしょうか。

その答えの一つはマルギラン市内にあります。

 マルギランのバザール 外から中まで、大変な賑わい

マルギランのバザールには、Ikatなど布専用のエリアがあります。

通路の両隣に並ぶそれぞれのお店には、これでもかと布が積まれ、ぶら下がり、しまわれています。扱っているものも安価なプリント済み生地から工房で織られたIkatまで、材料にしてもシルクや綿、その他諸々なんでもあります。

 ついつい一つ一つ手に取りたくなってしまうような、心憎い陳列

 「見せて欲しい」と頼めば全体の模様の雰囲気や質感など、吟味させてくれる

服や小物を作ることがある方などは、このバザールのそばに住みたくなってしまうかもしれません。1日では見終わらないほどの量、その中から自分だけの布を見つけ出すのも楽しそうです。

また、工芸品に関係はありませんが、このバザールでは車や自転車関連品のエリアも特徴的です。まるでSF映画に出てくるジャンクヤードのような、そんな雰囲気が味わえます。

 映画好きな方は、「これぞバザール」と思う光景かもしれない

 脈々と続く日本とのつながり

最後にもう一度リシタンに戻り、この町と日本との意外な関係を少しだけご紹介します。

リシタンには「のりこ学級」という日本語学校があり、ここで地元の子どもたちが日本語を勉強しています。

この施設を始めたのは、大崎さんという日本人の男性。仕事で関わりのあったウズベキスタン、リシタンにある陶芸工房の中に無償の日本語教室を開いたのがはじまりでした。

その後学生の数は増え、今は自治体や日本政府の後援もあり「ユースセンター」というより大型の施設に場所が移っています。

 初期に使われていた教室 今もあたたかみが残る空間

大崎さんが2005年にこの世を去った後も学級と日本とのつながりは強く続いており、今も多くの子どもたちがここに通っています。様々な形でここを訪れた日本人も少なくなく、オンラインで日本から日本語を教えている方もいるそうです。

 宿泊場所や工房なども備えたユースセンター

芸術的な工芸品や、日本との意外な繋がりといった独特の魅力を持つフェルガナ地域。

一般の観光とはまた異なった楽しみ方が期待できる、おすすめの地域です。

ご興味があれば、お気軽にお問い合わせください。

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