歴史と文化が色濃く残る街ブハラ。歴史的建造物が旧市街にまとまっていて、1日もあれば徒歩で主要な観光地を巡ることができます。
今回は、ブハラ旧市街のホテルから、効率よく見どころを全て楽しむための周り方をご紹介します。
シルクロードの歴史と魅力を感じられる街ブハラの歩き方
美しい池を囲む歴史的遺産 ラビハウズ周辺
ナディル・ディヴァンベキ・メドレセ
まず、ブハラ旧市街のホテルから徒歩で少し歩いていくと、ナディル・ディヴァンベキ・メドレセ(神学校)があります。17世紀にキャラバンサライ(行商人向けの休息場所)として建てられましたが、王が「素晴らしいメドレセだ!」と言ったために急遽メドレセにしたという逸話が残っています。
タイル画には人間の顔を持つ太陽や鳳凰、シカが描かれており、偶像崇拝を禁じているイスラム美術としては珍しいデザインで、思わず見入ってしまいました。
中に入るとお土産屋さんが並んでおり、夜には民族舞踏やショーが開催されるレストランにもなります。
向かいには、旧市街の中心地ラビハウズがあります。ラビハウズとは「池沿い」を意味し、17世紀に建設された人口の貯水池です。大きな池を囲んで木々やカフェが並んでおり、現地人の憩いの場所にもなっています。ラビハウズはナディル・ディヴァンベキ・メドレセ、ナディル・ディヴァンベキ・ハナカ、クカリダシュ・メドレセの3つの建築群の中心にあります。
こちらも夜にはレストランとして、より一層の賑わいを見せており、昼間とはまた違った雰囲気を楽しめます。
ナディル・ディヴァンベキ・ハナカ
ナディル・ディヴァンベキ・メドレセを背に、ラビハウスの向かいに進んでいくと、ナディル・ディヴァンベキ・ハナカがあります。”ハナカ”とはスーフィズムの修行者や巡礼者が宿泊し、礼拝や瞑想を行うための修道院を意味します。
こちらは現在、博物館になっており、入場料を払って中に入ることができます。
クケリダシュ・メドレセ
ラビハウズの近くには、クケリダシュ・メドレセというもう一つの歴史的建造物があります。クケリダシュとは”乳兄弟”の意味で、このメドレセを作ったブハラの知事クルハブが、当時統治していたアブドゥル・ハーン2世ら複数のハーンと良好な関係を維持していたことから、クルハブに与えられた称号です。メドレセには160のフジュラ(個室)があり、中庭を囲む二階建ての構造をしています。
中にはたくさんのお土産屋さんが並んでおり、スザニ職人の店もあります。
クケリダシュ・メドレセを出て、ラビハウズの方向に戻り、大通りを右に歩いていくと、沢山のお土産屋さんがあり、タキ・サラフォンという丸屋根の建物が見えてきます。
このような丸屋根を持つ建物のことをタキといいます。かつてはバザールだったため、タキバザールと呼ばれていました。タキ・サラフォンの出口はいくつかあり、その一つの角にラグの露天があります。
マゴキ・アッタリ・モスク
ラグの露天沿いに歩いていくと、マゴキ・アッタリ・モスクがあります。
9世紀から10世紀ごろに、ゾロアスター教の神殿跡地に建てられ、幾度かの再建を経て現在の姿になりました。かつてブハラのユダヤ人は最初のシナゴーグ(ユダヤ教会)が建設されるまで、このモスクでムスリムと共に礼拝していたと言われています。周辺では土製の偶像や薬草が売られる市場があったそうです。このモスクは、モンゴル侵攻以前から現存するブハラ最古のモスクです。
現在、中は博物館になっており、20世紀の絨毯が展示されています(入場料20000スム)。
マゴキ・アッタリ・モスクを横目に、橋のようになっている歩道を進んで歩いていくと、タキ・テルパクフルシャンがあります。
タキを抜けた先は遊歩道になっており、こちらもお土産屋街になっています。
シルクロードティーハウスもし休憩がしたくなったら、すぐそばにあるシルクロード・ティーハウスがおすすめです。ウズベキスタンの代表的な綿花模様のティーポットとともに、伝統的な雰囲気の店内でお茶を楽しみながら、ナッツやお菓子をいただけます。観光の合間に静かなひとときを過ごすにはぴったりの場所です。
シルクロード・ティーハウスの横を大通りに沿って進んでいくと、両脇にウルグベク・メドレセとアヴドゥールアジズ・ハン・メドレセが見えてきます。
ウルグベク・メドレセ
右側にあるウルグベク・メドレセはティムール朝の王子であるウルグベクによって作られた歴史的なイスラム教育機関で、1450年に建設されました。学問は宗教学のほか、数学、哲学、天文学などの分野があり、イスラム学問において重要な役割を果たした場所です。
アブドゥールアジズ・ハン・メドレセ
ウルグベク・メドレセと向き合うアヴドゥールアジズ・ハン・メドレセは、当時のブハラを統治していたアヴドゥールアジズ・ハンによって1652年に建てられました。ウルグベク・メドレセに対抗して作られたとも言われており、典型的なイスラム装飾のウルグベク・メドレセとは対照的に、金箔の装飾や植物模様など、鮮やかで個性的なデザインに魅了されます。
ウルグベク・メドレセのイーワーンにはコーランの引用が刻まれているのに対し、アヴドゥールアジズ・ハン・メドレセのイーワーンには有名な詩人たちの詩が描かれています。このメドレセが完成する前に国で政変が起きたため、右側の庭や正面左側が装飾されないまま未完成の状態で残ったと言われています。
魅惑の刺繍、精緻なデザイン ブハラのおすすめ工芸品
お土産屋さんが並ぶ通りを進んでいくと左側に『スザニ・ギャラリー&ワークショップ』が見えてきます。
店頭には日本語で店名が書かれており、日本語を話せる店主の娘さんが接客してくれます。棚には沢山のスザニと共に日本語コンテストの表彰状が飾ってありました。布のスザニのほか、トートバッグなど様々な種類があります。
その先には、『ブラック・スミス・ワークショップ』があります。ブハラを代表する工芸品である”コウノトリのハサミ”を製造販売している工房です。購入する際はその場で名前を刻印してもらえるサービス付きです。
ブハラ・シルクカーペット
さらに少し歩いた先に見えるのは、大小沢山の絨毯が店内に並ぶブハラ・シルクカーペット。店内の隅々に椅子もあり、座って絨毯を眺めることもできます。値段は様々ですが、小さいサイズのもので、100ドル程度、大きくて凝ったデザインのものになると50000ドルを超えるものもあるようです。全て自然由来の染色を使っており、手縫いであるため、色鮮やかで複雑なデザインの場合は小さいサイズでも非常に高価になります。お店であると同時に工房でもあり、別の部屋では女性たちが住み込みで絨毯を織っている様子を見ることができます。製作過程を実際に見学でき、貴重な体験でした。
また別の部屋では美しい大きな絨毯が展示されていて、美術館のような光景が広がっていました。
ブハラ・シルクカーペットのそばにある広場にはミルアラブ・マドラサ、カラーンモスク、カラーンミナレットが建っています。
壮大な建築群が立ち並ぶメインエリア 旧市街広場
ミルアラブ・マドラサ
ミルアラブ・マドラサは有名な神学校で、イスラム教育と建築の重要な遺産です。シャイパーニー朝時代の教育と宗教の中心地として、中央アジア全体のイスラム学者たちに影響を与えました。ソ連時代には宗教教育が禁止された中で、活動を許可された数少ないマドラサの一つでもあります。現在も神学校として機能しており生徒が在籍しているため、内部には立ち入ることができません。現役の神学校でありながら、夜にはライトアップが行われ、昼とはまた違う美しさを楽しむことができます。日中と夜、どちらも必見です!
カラーンモスク
15世紀に建てられたモスクで、カラーンはタジク語で「大きい」という意味。その名の通り中はとても広く、一万人もの人が礼拝できるようになっています。ソ連時代には倉庫として使われていましたが、現在は再び礼拝の場として機能しています。
カラーンミナレット
カラーンモスクの隣にあるカラーンミナレット。こちらもその名の通りとても大きく、ブハラで最も大きいミナレットです。征服に来たチンギスハンもこのミナレットに感銘を受け、崩壊を免れたと言われています。
19世紀後半までは罪人を生きたまま塔の上から投げ落とすという処刑が行われていたため、「死の塔」の別名でも知られています。歴史的背景を知ると、この場所に立つ重みが感じられます。
アルク城
広場から出て露天沿いに少し移動するとアルク城が見えてきます。
アルク城は古代ブハラの要塞で、歴代のブハラの王が居住していた場所です。城内には博物館もあり、当時の文化や生活を知ることができます。
アルク城の周辺ではラクダに乗ることもできます。
ボラハウズ・モスク
アルク城の向かいにあるのは、木製の柱が特徴的なボラハウズ・モスク。1712年にブハラ・ハン国の王専用のモスクとして作られました。モスクの前には池(ハウズ)があり、池の反射で見える柱も非常に美しく、見ていて心が落ち着きます。ボラハウズ・モスクは現在も金曜モスクとして機能しており、お祈りの時間には多くの人が礼拝に訪れます。女性はスカーフを着用していないとモスクの中には入れないので、訪れる際は気をつけましょう。
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いかがだったでしょうか。ブハラではその歴史的な建造物、工芸品、文化的な雰囲気、そして地元の人々の温かさが魅力の街です。ぜひこのガイドを参考に、ブハラの街歩きを楽しんでいただけたら幸いです。
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またブハラからの発着ツアーでは、近郊ギジュドゥバンの陶芸工房を見学することもできます。
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